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川の音のそばで眠る|海とは違う、聞くための水

· 泊まり火編集部

海辺の宿は、窓の前に何もないことが価値になる。水平線が部屋の続きになって、視界が抜ける。川沿いの宿はそうではない。目の前は対岸で、視界はむしろ閉じている。かわりに音がある。水が石に当たる音は、夜も朝も途切れず、消そうと思っても消せない。

海は見る水で、川は聞く水だ。同じ「水のある宿」でも、体に入ってくる経路が違う。

森に囲まれて流れる川
Photo: Alpsdake / CC BY-SA 4.0 (Wikimedia Commons)

上流と下流は、別の宿になる

川沿いの宿を選ぶときに効くのは、川のどのあたりに建っているかだ。

上流は流れが速く、石が大きく、音が高い。水は冷たく、夏でも足を入れていられるのは数分。谷が狭いので日照時間が短く、朝と夕方の光がはっきり違う。下流になると流れは緩み、音は低く連続的になる。川幅が広がって空が大きくなり、対岸まで距離が出る。

どちらが良いという話ではない。眠りを深くしたいなら音の低い下流、火や水風呂と組み合わせたいなら冷たい上流。同じ「清流沿い」でも、期待する時間が違う。

長良川のほとりに5組: 長良川リバーサイドグランピング KITEN

長良川リバーサイドグランピング KITEN公式サイトよりグランピング岐阜県 · 郡上長良川リバーサイドグランピング KITEN最大12名施設ページを見る →

岐阜県郡上市八幡町、清流・長良川のほとりに広がるグランピング。オートキャンプ場を併設し、グランピングは1日5組限定。冷暖房を完備し、各棟に専用のトイレ・バスとホテル並みのアメニティを備えたドームで、川のせせらぎを聞きながら過ごせる。

客室は内装の異なるシングルドーム4棟(定員5名)と、ドーム2棟を連結した「SPLENDIDUM」の全5棟。ツインドームは最大12名まで泊まれ、専用の食事スペースとテントサウナ、水風呂、ととのいスペースを備える。夕食は飛騨牛と地元野菜のBBQ、朝食はホットサンド。BBQスペースは屋根付きで雨でも使える。東海北陸道・美並ICや郡上八幡ICから約15分、長良川鉄道・相生駅からは車で5分(無料送迎・事前予約制)。

長良川は鮎と水の透明度で知られる川で、郡上はその中流域にあたる。サウナと水風呂がある宿が川沿いに建つのは、偶然ではない。

デッキの先を宮川が流れる: WAT RESORT プライベートヴィラ ひだいちのみや

WAT RESORT プライベートヴィラ ひだいちのみや公式サイトよりヴィラ飛騨高山(岐阜) · 岐阜県WAT RESORT プライベートヴィラ ひだいちのみや最大6名 · 52,000円〜 / 泊施設ページを見る →

岐阜県高山市一之宮町、清流・宮川沿いに建つ1日1組限定・全3棟の貸別荘型ヴィラ。デッキのすぐ先を川が流れていく立地で、無料のプライベートサウナがあり、グループホテルの天然温泉や露天風呂、ジムも使える。BBQ炉とキッチンを備え、セルフチェックインに対応。定員6名、料金の目安は52,000円〜/泊。JR高山駅から車、名古屋から特急ひだで約2時間20分。

宿にサウナがあり、外に温泉があり、目の前に川がある。この組み合わせは川沿いの宿でだけ成立する。

岩の間を流れる澄んだ渓流
Photo: Daderot / CC0 (Wikimedia Commons)

客室風呂から川を見る: 中伊豆フィッシングリゾート Gran In

中伊豆フィッシングリゾート Gran In公式サイトよりグランピング静岡県 · 伊豆市中伊豆フィッシングリゾート Gran In最大6名 · 14,500円〜 / 泊施設ページを見る →

静岡県伊豆市宮上、大見川の河畔に建つ1日4組限定のリバーサイドグランピング。川のせせらぎに包まれたドームテントに専用の食事スペースを併設し、客室はアルカリ性単純温泉の客室風呂とシングルベッド4台の「リバードーム」2棟と、プライベートテントサウナ付きの「スイートリバードーム」2棟の2タイプ(いずれも定員2〜6名)。

夕食は伊豆市の食材による肉料理コースか海鮮料理コース。自社養殖の「クリスタルサーモン」や中伊豆ワサビ、伊豆牛・天城軍鶏などを使う。食材を持ち込む素泊まりプランもあり、全天候型の食事スペースなので雨でもBBQができる。敷地内の釣り堀での釣り体験(宿泊者は1区画1本無料)や魚のつかみ取り、6〜7月には大見川のホタル鑑賞も。料金の目安は14,500円〜/泊。ペットの同伴はできない。

川の宿で温泉に入れるのは、地形の恵みだ。谷は温泉が湧きやすく、水と湯が同じ場所に集まる。

森の京都、清流のほとり: RETOUR KYOTO

RETOUR KYOTO公式サイトよりグランピング京都 · 京都市RETOUR KYOTO最大5名施設ページを見る →

京都市右京区京北、透き通った清流のほとりに佇む1日4組限定のグランピング。京都市中心部から車で約1時間、1棟貸切のヴィラ(全3室・定員〜5名)とログハウス風のロッジが建ち、全室が清流に面する。ヴィラは車椅子でも利用できるユニバーサルデザインを取り入れている。

各棟には清流を眺めながら入れる客室風呂(京北の天然水を使用)、リビング、キッチン、プライベートダイニング。目の前の川に入ってととのうテントサウナもある。夕食は京北の食材にこだわった炭火のグランピングBBQで、A5ランクの亀岡牛や京の肉、丹波鶏、鰻の炭火蒲焼など。名物の流しそうめんもある。

京都駅からはバスを乗り継いで約2時間。市街地から1時間で、これだけ水の音しかしない場所に入れるという事実のほうが驚きに近い。

都市から50分の渓谷: FOREST GLAMPING 牛滝温泉 四季まつり

FOREST GLAMPING 牛滝温泉 四季まつり公式サイトよりグランピング大阪府 · 岸和田FOREST GLAMPING 牛滝温泉 四季まつり最大5名施設ページを見る →

大阪市内から車で約50分、大阪府と和歌山県の県境に近い岸和田市の山あい、牛滝渓谷にあるグランピング施設。ドームテントやトレーラーハウス、最大5名のログハウスがそろい、22区画のキャンプサイトも備える。隣接する大浴場で褐色の天然温泉に入れ、手ぶらBBQや川遊びも楽しめる。

大都市から1時間かからずに渓谷に入れる場所は多くない。川の音は距離ではなく地形で決まるので、街の近くにも突然ある。

川の宿で、ひとつだけ気をつけること

川は増える。雨のあとの数日、上流に降った雨が下りてくると、水位も音も別のものになる。宿はその前提で建っているが、川原に降りて遊ぶかどうかは自分の判断になる。雨のあとの川に子どもを入れないこと、テントサウナの水風呂を川にする場合は上流の天気を見ること。この2つだけは、宿の案内より先に知っておいていい。

そのうえで、秋は川の季節だ。水が澄み、虫が減り、音だけが残る。窓を開けて寝るには、たぶん一年でいちばんいい時期になる。

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