ホーム /読みもの /湯上がりの設計|外気浴、ラムネ、風鈴の音

湯上がりの設計|外気浴、ラムネ、風鈴の音

· 泊まり火編集部

温泉の記憶を思い返すと、不思議なことに、湯船の中のことはあまり覚えていない。覚えているのは、湯から上がったあとだ。火照った肌に触れる夕方の風。廊下の先で鳴っていた風鈴。畳に大の字になったときの天井。風呂のいちばんおいしい部分は、実は「湯上がり」に来る。

短冊を揺らして並ぶガラスの風鈴
Photo: Ineshima / CC BY-SA 4.0 (Wikimedia Commons)

だとすれば、湯上がりは設計できる。まず、上がる前に飲み物を冷やしておくこと。麦茶でも瓶ビールでもいいが、夏に推したいのはラムネだ。ビー玉を落とす音、細い瓶の首、強すぎる炭酸。味そのものより「儀式」が湯上がりに効く。次に、座る場所を決めておくこと。縁側でも、テラスの椅子でも、風の通り道に一脚。サウナでいう外気浴を、風呂のあとにもやるのだ。

氷水に並ぶラムネの瓶
Photo: Shinsuke Ikegame / CC BY 2.0 (Wikimedia Commons)

そして貸切の宿なら、この余韻を誰にも邪魔されない。大浴場の脱衣所の混雑も、湯冷めを気にしてすぐ部屋に戻る廊下もない。濡れ髪のまま縁側に座って、日が落ちるまでぼんやりする。それが許される場所で入る風呂は、同じ湯でも別のものになる。

庭に面した日本家屋の縁側
Photo: Savannah Rivka / CC BY-SA 4.0 (Wikimedia Commons)

名湯と、温泉街の夕涼み: 有馬こと里

有馬温泉の宿 小都里(ことり)公式サイトよりヴィラ有馬温泉(兵庫) · 兵庫県有馬温泉の宿 小都里(ことり)最大6名施設ページを見る →

有馬温泉駅から徒歩圏の気軽な小宿。一棟貸しプランで、名湯「銀泉」と温泉街の街歩きを楽しめる。ここの湯上がりは、外に出るのがいい。日本最古級の温泉街の路地を、火照りが引くまでそぞろ歩く。坂の途中の炭酸せんべいの匂いまで含めて、有馬の外気浴だ。

七尾湾に向かう外気浴: WAT RESORT(ワットリゾート)奥能登

WAT RESORT シーフロント奥能登公式サイトよりヴィラ能登(石川) · 石川県WAT RESORT シーフロント奥能登55,000円〜 / 泊施設ページを見る →

七尾湾の海沿いに建つ1日1組限定の貸別荘。能登島を望む絶景のプライベートリゾートで、サウナや焚火、温泉、BBQを楽しみながら奥能登の海時間を過ごせる。サウナ、温泉、焚き火と「火照る装置」が揃っているから、湯上がりの海風が最高の引き立て役になる。夕凪の七尾湾は、外気浴のために用意されたような静けさだ。

太平洋を見ながら畳に大の字: TSUBAKI ROOMS(ツバキルームス)白浜

南紀白浜(和歌山)のイメージイメージヴィラ南紀白浜(和歌山) · 和歌山県TSUBAKI Rooms(ツバキルームズ)白浜最大10名施設ページを見る →

南紀白浜の太平洋を望む1日1組限定の大型リゾートヴィラ。温泉とプライベートプールを備え、最大10名で白浜の絶景を独り占めできる。湯上がりにプールサイドで夕日を見る、という温泉宿ではできない組み合わせがここでは可能だ。家族の入浴が全員終わる頃、ちょうど空が茜色になる。

余韻まで含めて、風呂である

慌ただしい日常の入浴は、湯上がりの余韻を5分も取れない。旅の風呂は、その失われた時間を取り戻す機会だ。次の温泉旅は、湯船の質だけでなく「湯上がりにどこで涼めるか」で宿を選んでみてほしい。風鈴は、鳴っていなくてもいい。風の通り道さえあれば、湯上がりは設計できる。

← 読みもの一覧へ