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ヴィラで過ごす24時間 15時の光から、翌朝の静けさまで

· 泊まり火編集部

ホテルの一泊は「部屋にいる時間」で数えられる。一棟貸しのヴィラの一泊は、そうではない。鍵を受け取った瞬間から翌朝返すまで、家一軒ぶんの時間がまるごと自分たちのものになる。チェックインの光、日暮れの湯、火を落とした後の静けさ、そして朝の食卓。ここでは、その24時間を順番に歩いてみたい。

夕暮れのプールサイドに西日が差し込むリゾートの情景
Photo: Raining Huang iourain / CC0 (Wikimedia Commons)

15時、鍵を受け取る

多くのヴィラで、滞在は午後3時前後に始まる。西に傾きはじめた光が床に長く伸びる時間帯だ。玄関で靴を脱ぎ、リビングを一周し、窓を全部開けてみる。冷蔵庫に飲み物をしまい、どの寝室を誰が使うか決める。それだけのことが、妙に楽しい。

ここにはフロントもロビーもない。廊下ですれ違う誰かもいない。この家の今日と明日は、予定表ではなく自分たちの気分で決まる。まずはお茶を淹れて、ソファに沈む。急ぐ理由が何ひとつないことを確かめる儀式のようなものだ。

チェックインまでの道すがら、土地のスーパーで飲み物や果物を買い込んでおくのもいい。ホテルでは荷物にしかならないそれらが、ヴィラでは滞在の道具になる。

夕日に間に合う宿: private villa YUHIMI(夕日見の丘)

private villa YUHIMI(夕日見の丘)安芸公式サイトよりヴィラ高知(土佐) · 高知県private villa YUHIMI(夕日見の丘)安芸最大12名施設ページを見る →

一日のうちで、ヴィラがいちばん美しくなるのは日暮れどきだと思う。高知・安芸の丘に建つ「夕日見の丘」YUHIMIは、その名のとおり土佐湾に沈む夕日を望む1日1組限定のヴィラだ。棟ごとに独立した2棟で、隣を気にせず過ごせる。

天然温泉に浸かりながら、海の色が刻々と変わっていくのを眺める。湯から上がる頃、テラスでは炭火の支度がはじまる。土佐和牛や四万十豚、ちりめんじゃこや干物といった高知の食材を、暮れていく空の下で焼く。

日が沈みきっても、この宿の夜は終わらない。プールやバレルサウナ、薪の暖炉、プロジェクターまで揃っているから、夕日はあくまで序章だ。火の前で過ごすか、映画を流すか。夜の使い道は、その場の気分で決めればいい。

夜は湯とともに更ける宿: GLAMDAY VILLA 海森風

GLAMDAY VILLA 海森風(うみもりかぜ)熱海公式サイトよりヴィラ熱海・伊豆(静岡) · 静岡県GLAMDAY VILLA 海森風(うみもりかぜ)熱海最大11名施設ページを見る →

食事が終わり、話し声が少しずつ低くなっていく。ヴィラの夜のよさは、この「解散しなくていい」ことに尽きる。誰かはソファでグラスを傾け、誰かはもう一度湯へ向かう。

熱海の高台に建つGLAMDAY VILLA 海森風は、夜の湯のために生まれたような一棟貸しだ。この家では、すべての浴室が温泉。1階には源泉かけ流しの広い檜風呂とサウナ、水風呂が並び、露天風呂からは海風と森の気配が届く。2階には「風の間」「葉の間」「灯の間」「庭の間」と名づけられた4つの客室があり、最大11名まで泊まれる。熱海駅からシャトルカーで約15分、夜更けに何度でも檜の湯に戻れる贅沢は、日帰り温泉では決して味わえない。

湯から上がったら、火照った体のままグラスに何か注いで、話すでもなく黙るでもない時間を過ごす。時計を見ない夜は、ずいぶん久しぶりのはずだ。

湯けむりの立つ露天風呂の夜の情景
Photo: RickardA / Public domain (Wikimedia Commons)

朝を惜しまない宿: WEAZER西伊豆 廻(カイ)

WEAZER西伊豆 廻(カイ)公式サイトよりヴィラ西伊豆(静岡) · 静岡県WEAZER西伊豆 廻(カイ)279,000円〜 / 泊施設ページを見る →

ヴィラの朝は、鳥の声と湯気からはじまる。カーテンを開けて空の色を確かめ、まだ誰も起きてこないリビングでコーヒーを淹れる。この静けさこそ、前夜の宴と同じくらい価値がある。

西伊豆・戸田のWEAZER西伊豆 廻は、その朝の時間を極限まで引き延ばした宿だ。1日1組限定、電力も水も自然エネルギーで自給する完全オフグリッドの一棟貸しで、約150㎡の客室に1,000㎡を超える敷地。サウナと半露天風呂を備え、滞在は最大28時間に及ぶ。15時から翌11時までのショートステイは夕朝食付きで2名279,000円から。11時に入って翌15時に発つロングステイなら3食付きで、チェックアウトの朝ですら急ぐ必要がない。オフグリッドという言葉は無骨に響くが、実際の滞在は静かで満ち足りている。電線も喧噪も届かない場所で食べる朝食は、家のそれと同じ献立でも別のものになる。

11時、ドアを閉める

荷物をまとめ、窓を閉め、鍵を返す。来たときと同じ家なのに、帰るときには少しだけ自分たちの家のような顔をしている。一棟貸しの不思議はここにある。

数字の話を最後にひとつだけ。当サイト掲載のヴィラの相場は1棟あたり中央値で約7万円/泊。大人数で分ければ1人1万円前後に収まることも多い。24時間まるごとの自由は、思っているより近くにある。次の週末は、15時の光から始めてみてほしい。

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