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桃の季節の河口湖|直売所からヴィラの冷蔵庫へ
七月の山梨は、桃の匂いがする。中央自動車道を河口湖方面へ走ると、笛吹から一宮のあたりで果樹園の丘がひらけ、道沿いに「桃」とだけ書かれた幟がはためきはじめる。山梨は言わずと知れた日本一の桃の産地で、夏のこの時期、直売所には朝もぎの一玉が山と積まれる。
観光地の土産物として箱詰めの桃を買って帰る、という手もある。けれど貸切のヴィラに台所があるなら、話はもっと面白くなる。産地でいちばんいい桃を自分の目で選び、宿の冷蔵庫で冷やして、その日の夜か翌朝に食べる。買い出しから食卓までを、旅先で自分たちの手で完結させる。ホテルの部屋ではできない、一棟貸しならではの夏の過ごし方だ。
直売所で、その日の一番いい桃を選ぶ
直売所の桃は、スーパーのそれとは選び方が少し違う。産地では熟し加減の異なる桃が並ぶから、いつ食べるかで選び分けるといい。当日の夜に食べるなら、香りが立ち、軸のまわりまでしっかり色づいた完熟のものを。翌日以降なら、まだ少し固いものを選んで常温で追熟させる。桃は収穫後も追熟して甘みが増す果物だから、慌てて全部を冷蔵庫に入れないのがこつだ。
食べる二、三時間前に冷やすと、甘みと香りがいちばん立つ。冷やしすぎるとかえって甘みを感じにくくなるので、氷水でキンと締めるのは食べる直前だけでいい。このあたりの塩梅は、台所と冷蔵庫が自由に使える貸切の宿でこそ試せる贅沢だ。
こだわりの台所で、桃を切る夜: ASH Villa 富士河口湖
公式サイトよりヴィラ富士河口湖・富士五湖(山梨) · 山梨県ASH Villa 富士河口湖最大10名施設ページを見る →
富士山の麓、鳴沢村に建つ全2棟のプライベートヴィラ。半露天風呂と庭での焚火、そして「こだわりのキッチン」を備えているのが、この宿の身上だ。買ってきた桃を冷やしておき、半露天の湯で汗を流したあと、涼しくなった夜のキッチンで一玉を剥く。焚火を眺めながら食後の一皿にする、といった夜の組み立てが、ここなら自然にできる。ドッグフレンドリーで、愛犬連れの家族旅にも向く。料金・空室・棟ごとの定員は公式サイトで確認のこと。
1日1組の冷蔵庫を、桃で満たす: Private villa FujiNagi(フジナギ)

富士山と河口湖を一望する、1日1組限定の一棟貸切ヴィラ。富士河口湖町大石にあり、寝室3・最大10名まで泊まれる。IHキッチンを備えているから、直売所で買い込んだ桃を気兼ねなく冷蔵庫に並べておける。1組貸切だからこそ、冷蔵庫も台所もまるごと自分たちのものだ。プライベートサウナで整えたあと、テラスのBBQと一緒に冷えた桃を回す、という夏の夜の使い方ができる。チェックインは16時から、チェックアウトは11時。料金・空室は公式サイトで確認のこと。
大人数の食卓に、桃をどっさり: プライベートリゾート パインツリー(富士河口湖)

河口湖ICから車で約2分という近さの一戸建て貸別荘。フィンランド製ログコテージなど5種の棟があり、全棟にBBQテラスと24時間楽しめる露天風呂を備える。最大12名まで泊まれるから、大人数で直売所に立ち寄って桃を箱で買い、冷蔵庫にどっさり冷やしておく、という買い出しが似合う。テラスでBBQを囲んだあと、締めに一人一玉の桃、というのも夏の贅沢だ。ICから近い立地は、産地への寄り道と買い出しの拠点としても動きやすい。1棟34,000円〜(定員により変動)。料金・空室は公式サイトで確認のこと。
桃を持ち帰らない旅
産地の桃は足が早い。だからこそ、箱で買って持ち帰るより、その土地で、いちばんいい状態のうちに食べてしまうのがいい。冷やす、剥く、切り分ける。旅先の台所でそれをする数十分は、観光名所を一つ回るより、ずっと記憶に残る。次の夏、河口湖へ向かう車の中で、直売所の幟を探してみてほしい。旅の目的地が、名所ではなく一玉の桃になる。