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薪ストーブのある部屋|秋の夜は、火を入れるところから始まる
秋の夜は、昼との落差でやってくる。日中はシャツ一枚で歩けたのに、日が落ちて30分もすると膝から冷える。焚き火を囲むにはまだ少し中途半端で、けれど何も焚かないには惜しい。この季節にいちばん働くのが、屋内の火だ。
薪ストーブと焚き火は、同じ薪を燃やしているのに体験がまるで違う。焚き火は顔と手のひらだけが熱い。薪ストーブは鉄と壁が温まって、部屋そのものが暖かくなる。だから焚き火は「囲む」もので、薪ストーブは「その中にいる」ものになる。ガラス越しの炎には音がほとんどない。爆ぜる音は聞こえるが、風に煽られる不安定さがない。読書と相性がいいのは、たぶんこの静けさのせいだ。
泊まり火に掲載している672軒のうち、暖炉や薪ストーブを備えるのは98軒。数としては多くないが、山と高原と北の土地に偏って存在している。
森のログハウスで焚く: パインズコテージ八ヶ岳

八ヶ岳の森に建つ、フィンランド・ホンカ社の本格ログハウスの貸別荘。大きな窓から八ヶ岳や甲斐駒ヶ岳を望み、薪ストーブとBBQで北欧の別荘気分を味わえる。定員5名・2ベッドルーム、料金の目安は約31,900円〜/泊。丸太の壁は熱をゆっくり吸って、ゆっくり返す。火を落としたあとの余韻が長いのは、建物の素材のせいでもある。
温泉と火を両方使う: MONS GORA(モンス強羅)

箱根・強羅の一棟貸し。大涌谷源泉のかけ流し檜半露天風呂と薪ストーブを、約350㎡のデザイナーズ空間に備える。定員8名・2ベッドルーム。湯で温まった身体は、外に出た瞬間にいちばん冷える。その戻り先に火があるかどうかで、秋の風呂上がりはまったく違うものになる。
窓を額縁にして: 山郷VILLA(小樽 春香町)

小樽・春香町の自然豊かな「山郷」に建つ一棟貸しのヴィラ群。薪ストーブとピクチャーウインドウ、ウッドデッキの焚火やサウナを備え、暮らすように北海道の自然を味わえる。北の秋は本州より2ヶ月ほど早く進む。9月の夜にはもう、火のありがたみが本気で分かる土地だ。
火を入れる係を、ひとり決める
薪ストーブは、着火までの段取りが焚き火とほぼ同じだ。細い薪から始めて、太い薪は火が育ってから。違うのは空気の調整で、扉と吸気口の開き具合で火の勢いが変わる。慣れないうちは開け気味にして、燃え上がったら絞る。宿によっては薪も着火剤も用意されているので、手ぶらで焚けることも多い。
夕方に火を入れて、あとは誰かがときどき薪を足す。その係を交代でやっているうちに、夜がだいぶ更けている。