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大人数の夜を、上質に整える|1棟貸切で更けていく時間
大人数で集まる夜は、たいてい2時間で終わる。店の予約、コースの時間、終電。楽しさが佳境に入ったところで、いつも切り上げてきた。1棟貸切のヴィラは、その続きを取り戻すための場所だ。
チェックインを済ませて荷物を置くと、誰からともなくリビングに集まってくる。買い出しの袋がテーブルに並び、誰かが音楽をかけ、誰かが風呂を見に行く。宴会場ではなく「家」であること。それだけのことが、夜の質を静かに変えていく。今夜は誰にも時間を区切られない。
荷ほどきもそこそこに、まずは家の中を見て回る。リビングの広さに歓声が上がり、寝室の割り振りでひと悶着あって、風呂とサウナの順番が決まっていく。このなんでもないやりとりが、もう宴の始まりだ。
台所から夜が始まる宿: MOROISOSO(モロイソソウ)三浦

大人数の夜のいちばんの発明は、台所を囲む時間だと思う。米を研ぐ人、野菜を切る人、火を見る人、グラスを並べる人。役割はその場で自然に決まり、手を動かしているうちに、久しぶりの相手とも会話がほどけてくる。配膳された食事を待つだけの夜には、この時間がない。
できた料理から順にテーブルへ運ばれ、乾杯の音頭を待たずに、立ったまま、座ったまま、思い思いに夜が始まる。行儀の良い会食ではなく、暮らしの延長にある宴。大人数の夜が「上質」になるのは、豪華だからではなく、こうして肩の力が抜けているからだ。
三浦・諸磯の海辺に建つこの貸切ヴィラは、1日1組限定で最大18名。1階にキッチンを備え、テラスではBBQも焚火もできる。食後は温水の巨大なプール型露天風呂とサウナが待っていて、水平線が部屋の続きになるような立地だ。都心から約1時間で、愛犬も一緒に泊まれる。
深夜の語らいが似合う宿: kotorine(コトリネ)那須

夜が更けるほど、会話は深くなる。日付が変わる頃、話題は近況報告から、普段は口にしない話へ移っていく。この時間帯こそ大人数の夜の本編なのに、ホテルでは「そろそろ部屋に戻ろうか」で解散になってしまう。
那須の森に佇むこのログハウスは、1日1組貸切で最大16名。約1,200㎡の敷地には本格フィンランド式のサウナ棟に加え、24時間音出しできる専用の音楽棟まである。楽器を持ち寄って深夜のセッションに興じるもよし、卓球台で童心に返るもよし。森の中の1棟貸切だから、笑い声の大きさに気を揉む必要もない。鍵を受け取った瞬間から、ここは自分たちの別荘になる。
三世代の夜を受け止める宿: koti hakone(コティ箱根)

祖父母、親、子ども。三世代の旅では、それぞれの夜の速度が違う。子どもが先に眠り、祖父母がゆっくり湯に浸かり、残った大人たちがリビングで杯を重ねる。ホテルの客室に分かれてしまえば途切れるこの緩やかな時間差を、1棟の家はそのまま受け止めてくれる。廊下を挟んで三つの世代が眠る家は、それ自体がひとつの合宿のようで、旅の記憶はたいていこういう夜に濃くなる。
箱根・仙石原のこの大型貸別荘は、1日1組限定で6寝室・最大26名。源泉かけ流しの温泉と本格サウナを備え、寝る部屋を分けながら、夜は同じ屋根の下に集まれる。基本料金は1棟85,000円〜。ペット可なので、家族の一員である犬も置いていかずに済む。
翌朝は、早起きした誰かの淹れたコーヒーの匂いで目が覚める。寝癖のまま集まって、昨夜の続きをぽつぽつと話す。この朝の緩さまで含めて、1棟貸切の夜だと思う。
1人あたりに割ると、意外と手が届く
「貸切ヴィラ」という響きには構えてしまうかもしれない。だが当サイト掲載ヴィラの相場は1棟あたり中央値で約7万円/泊。大人数で割れば、1人約1万円前後に収まることも珍しくない。飲み会を2軒はしごした夜と大差ない予算で、時間制限のない一晩と翌朝までが手に入ると考えると、むしろ合理的な選択だ。
幹事の仕事も、店選びから鍵の予約へと変わる。人数分の寝床と、全員で集まれるリビングと、翌朝の台所。それだけ揃っていれば、夜はおのずと上質になる。次に仲間と集まるなら、店の席ではなく、1棟の鍵を予約してみてほしい。