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バリアフリーの一棟貸し|段差のない宿を探す
車椅子の家族と旅をする人にとって、一棟貸しは本当は理にかなった宿の形だ。大浴場までの長い廊下がない。朝食会場への移動がない。ほかの客とすれ違うたびに気を遣うこともない。玄関を一度入ってしまえば、そこから先は自分たちの家になる。
ところが実際に探し始めると、一棟貸しの世界は段差だらけだと気づく。ロフトの梯子、メゾネットの階段、ドームテントの入口の立ち上がり、砂利のアプローチ。「非日常」の演出は、たいてい床の高さを変えることでつくられているからだ。
明記しているのは、672軒中8軒
先に数字を書いておく。泊まり火の掲載672軒のうち、宿泊棟や館内のバリアフリー対応、車椅子対応、ユニバーサルデザインを公式にうたっているのは8軒しかない。割合にして1.2%だ。
ただし、これを「車椅子で泊まれる宿が8軒しかない」と読むのは正しくない。説明文に書いていないだけの宿は確実にある。それでも、明記には意味がある。公式サイトに書くというのは、車椅子の客を想定して建物を設計した、あるいは作り直したという表明だからだ。探すなら、まず「書いてある宿」から始めるのが早い。
介護ベッドまで書いてある宿: shimaoドリームbeach

富山県氷見市、島尾海岸の目の前に建つビーチグランピング。全棟オーシャンビューのコテージのうちD棟が車いす対応で、介護用リクライニングベッドまで備える。「バリアフリー対応」と一言添える宿は多いが、介護ベッドまで書く宿はめったにない。想定している客の解像度が違う。ビーチまで歩いて20歩、JR氷見線・島尾駅から徒歩約5分だから、家族に運転する人がいなくても行ける。床暖房完備で、ウッドデッキにはガス式の備え付けBBQグリル。D棟は愛犬同伴にも対応する。
バリアフリーの平屋に、プールと湯: 天橋立 宮津ハーバー

日本三景・天橋立を望む宮津湾のオーシャンフロントに建つ貸切ヴィラ2棟。どちらもバリアフリーの平屋で、宮津湾と一体化するようなインフィニティプールと、天然鉱石を使った人工温泉「くぐり湯」を備え、浴室の窓は海へ大きく開く。夕食は国産和牛や活アワビの贅沢BBQも選べる。段差をなくした宿は設備も我慢した宿だろう、という思い込みを、ここが壊してくれる。
古民家にも、段差のない一棟がある: CYMBALS

岩手県岩泉町、道の駅いわいずみに隣接して2025年に開業した体験型リゾート。古民家をリノベーションした一棟貸し「リノベコ」に平屋タイプがあり、バリアフリー設計を明記する。古民家という、本来いちばん段差と縁が深い建物を、車椅子で使える形に作り直した例だ。夕食は敷地内レストランで龍泉洞黒豚やいわて短角牛のコース料理(3日前までの完全予約制)だから、調理の負担もない。
清流とユニバーサルデザイン: RETOUR KYOTO

京都市右京区京北、清流のほとりの1日4組限定グランピング。全室が川に面し、ヴィラは車椅子でも利用できるユニバーサルデザインの造りだ。京北の天然水を張った客室風呂から清流を眺められて、夕食はA5ランク亀岡牛などの炭火BBQをプライベートダイニングで。京都市中心部から車で約1時間という近さもいい。
このほかにも、群馬・四万温泉のSHIMA BLUE(源泉かけ流し露天風呂付きコテージにバリアフリー対応棟)、群馬・渋川のヘルシーパル赤城(エレベーターとバリアフリー対応ツイン)、福島・あだたらの空の庭クレセントムーン(館内バリアフリー設計・エレベーター完備)、香川・さぬき津田のBeach SPA TSUDA(バリアフリー仕様の棟)がある。
「平屋」という手がかり
バリアフリーと書いていなくても、手がかりはある。「平屋」だ。掲載で平屋を掲げる宿は10軒あり、少なくとも建物の中の上下移動がない。阿蘇くじゅう国立公園内の森寧 villa-monetは1日1組限定の平屋で、完全独立の4寝室に最大8名。長崎の一棟貸し 平戸よこたは縁側のある伝統的な平屋建てで、全室から海を望む。Rakuten STAY VILLA 日光には天然温泉とサウナ付きの平屋タイプがある。
ただし、平屋イコール車椅子対応ではない。玄関の上がり框、アプローチの砂利、ウッドデッキへ出る一段。段差は建物の外にこそ残る。そこから先は、聞くしかない。
電話で聞いていい
一棟貸しは小さな宿が多い。電話をかけると、建物を実際に知っている人が出ることが多い。聞くことは5つで足りる。駐車場から玄関までの経路はどうなっているか。玄関に段差や上がり框はあるか。寝室と浴室は同じ階か。浴室と廊下の入口幅を車椅子が通れるか。手すりや貸出品はあるか。「バリアフリーですか」というひとつの質問より、この5つのほうがずっと正確な答えが返ってくる。
段差のない宿は、車椅子の人だけのものではない。足腰が不安になってきた親。ベビーカーの赤ちゃん。松葉杖の骨折者。家族の誰かが「段差を気にする側」になる日は、たいていの家にいつか来る。そのとき、貸切の宿はちゃんと選択肢になる。
よくある質問
- 車椅子で泊まれる貸切の宿はありますか?
- あります。泊まり火の掲載672軒のうち、宿泊棟のバリアフリーや車椅子対応を公式に明記しているのは8軒です。富山・氷見のshimaoドリームbeach(車いす対応棟・介護用リクライニングベッド)、京都・宮津の天橋立 宮津ハーバー(バリアフリーの平屋2棟)、京都・京北のRETOUR KYOTO(車椅子でも使えるユニバーサルデザイン)、岩手・岩泉のCYMBALS(バリアフリー設計の平屋一棟貸し)などです。
- バリアフリーと書いていない宿には泊まれませんか?
- そうとは限りません。説明に書いていないだけで、実際には段差の少ない宿もあります。手がかりになるのは「平屋」で、掲載では10軒が平屋を掲げており、建物の中の上下移動がありません。ただし玄関の上がり框やアプローチの砂利など、建物の外の段差は残ることが多いので、予約前に宿へ直接確認してください。
- 予約の前に何を確認すればいいですか?
- 5つで足ります。駐車場から玄関までの経路、玄関の段差と上がり框の高さ、寝室と浴室が同じ階にあるか、浴室と廊下の入口幅を車椅子が通れるか、手すりや貸出品の有無です。一棟貸しは小さな宿が多く、電話をすると建物を実際に知っている人が答えてくれることが多いです。


