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「オールインクルーシブ」の中身|どこまでが込みなのか

· 泊まり火編集部

宿の料金を見比べているとき、いちばん比べにくいのが「あとでいくらかかるか」だ。1泊の表示価格が安くても、BBQの食材が別、飲み物が別、サウナが別、レンタル用品が別と積み上がっていくと、着いてから財布の話が始まる。

その反対側にあるのが、オールインクルーシブと名乗る宿だ。ただし、この言葉ほど中身に幅のある言葉もない。

草地に置かれたワイングラス
Photo: Jamie Street / CC0 (Wikimedia Commons)

672軒中24軒。しかも全部グランピング

先に数字を書いておく。泊まり火の掲載672軒のうち、オールインクルーシブを公式に掲げているのは24軒。3.6%だ。

そして、ここがいちばん面白いところだが、24軒はすべてグランピング施設で、一棟貸しのヴィラは1軒もない。偶然ではないと思う。一棟貸しは「鍵を渡すので、あとは好きにしてください」という形の宿だ。食材を買って持ち込み、自分で焼いて、自分で片づける。含めるべきサービスがそもそも少ない。オールインクルーシブは、スタッフが常駐して食事も飲み物も出すグランピングだからこそ成立する売り方だといえる。

つまり「オールインクルーシブの一棟貸しヴィラ」を探しても、掲載の範囲では見つからない。探す場所を最初から変えたほうが早い。

第1段階: ドリンクだけ

いちばん多いのがこの形だ。夕食は別料金だが、滞在中の飲み物が無料になる。

茨城・大洗のグランマーレ茨城大洗は、ビールやサワー、ソフトドリンクが無料のフリーバーを備える。長野・阿智のmökki STARDUST GLAMPINGは敷地中央の「BAR STARDUST」で15時から20時半まで、ビールやワインが飲み放題。栃木・佐野のラ・ナチュールはドリンクに加えて県産牛乳のソフトクリームが込みだ。

金額でいえば大きな差ではない。けれど「飲み物をもう1杯頼むかどうか」を考えなくていいのは、思っているより効く。特に運転しない側の人にとっては。

夕暮れの屋外に並んだ食卓
Photo: Arthur Poulin / CC0 (Wikimedia Commons)

第2段階: 食事まで

ここから「予約時にほぼ支払いが終わる」領域に入る。

滋賀・大津のAFUMI KITAKOMATSUは琵琶湖まで10歩、比良山系の麓に立つレイクサイドグランピングで、夕朝食とフリードリンク込み。露天風呂付きドームやドッグラン付き棟など4タイプ12棟から選べる。東京・あきる野のウッドランド ボシーは専属シェフが付くオールインクルーシブと素泊まりを選べる形で、13,200円〜/人。東京都内に掲載施設は3軒しかなく、その1軒がこれだ。

「選べる」というのは実はありがたい。自炊したい日と、何も考えたくない日は違う。

第3段階: 体験も設備も込み

いちばん振り切っているのがこの層で、含まれるものを読むと感心する。

GLAMP ELEMENT(滋賀・米原) 伊吹山麓の池のほとりに7タイプ全18棟。夕食・朝食・バー・アクティビティ・サウナ付き大浴場までが宿泊料金に含まれる。夜は120種以上のドリンクが飲み放題、日中はパターゴルフやモルック、全棟に専用カヌー。19,400円〜/人で、JR米原駅から無料送迎バスがある。

中伊豆 EAST WINDS VILLAGE(静岡・伊豆市) 富士山と10haのぶどう畑を望むワイナリーグランピング。コース仕立てのBBQディナーと朝食、客室のワインのフルボトル、キッチンカーでのフリーフロー、夜の焚火、そしてワイナリーを巡るガイドツアーまでが料金に含まれる。全10棟・定員4名、59,000円〜/泊。温泉は別館の源泉かけ流しを無料送迎で使える。

An Eland(和歌山・白浜) 田辺湾に浮かぶ無人島を1日9組で使うドームグランピング。熊野牛の炭火BBQ、ライトアップした岩壁のナイトバー、約60℃のバレルサウナと約80℃のテントサウナ、宿泊者専用のプライベートビーチ、ハーゲンダッツ食べ放題、バスソルトバーまで込み。

STAGEX高島(滋賀・高島) 琵琶湖畔。夕朝食・サウナ・レンタサイクル・ドッグランが宿泊費に含まれ、水辺に浮かぶサウナや、鮒寿司の飯と糀の発酵ダレで味わう近江の発酵BBQ、地元・宝牧場のソフトクリーム食べ放題まで。JR新旭駅から無料送迎がある。

オールインクルーシブは、琵琶湖に集まっている

集計していて意外だったのがこれだ。24軒のうち6軒が滋賀県で、うち5軒は琵琶湖畔にある。4軒に1軒が一つの県に固まっている計算になる。

大阪や京都から1時間前後、湖のほとりで、食事も飲み物も込みで過ごす。車で来て、着いたらもう動かない。この形が琵琶湖で定着したのだと思う。STAGEX高島AFUMI KITAKOMATSU琵琶湖ドギーズグランピング今津浜グランピングヴィレッジ滋賀今津浜レイクサイドテラス琵琶湖。湖の西岸に、似た思想の宿が並んでいる。

予約前に見るのは3つ

最後に実務の話を。オールインクルーシブという言葉を見たら、確認するのは3つでいい。

ひとつ、何が「オール」なのか。ドリンクだけなのか、食事もなのか、サウナやアクティビティもなのか。ここが宿ごとにいちばん違う。

ふたつ、子どもの料金。人数単価の宿では、子どもの扱いで総額が大きく変わる。

みっつ、現地で発生するものが残っていないか。貸切風呂やサウナの別料金、ペットの追加料金、レンタル品。オールインクルーシブでも、全部が消えるわけではない。

なお、グランドーム伊勢賢島のように「オールインクルーシブ」とは名乗らずに、ハーゲンダッツ食べ放題やナイトバーのドリンクを追加料金なしで提供する宿もある。言葉で検索するだけでは出てこない宿があるということだ。含まれるものは、結局のところ言葉ではなく中身で見るしかない。

よくある質問

オールインクルーシブの貸切の宿はありますか?
あります。泊まり火の掲載672軒のうち、オールインクルーシブを公式に掲げているのは24軒です。ただし24軒すべてがグランピング施設で、一棟貸しのヴィラには1軒もありません。一棟貸しは素泊まりと持ち込みが基本の形だからです。
オールインクルーシブなら本当に追加のお金はかかりませんか?
「オール」の範囲が宿ごとに違います。ドリンクだけが無料の宿もあれば、夕朝食・バー・アクティビティ・サウナ付き大浴場まで含む宿(滋賀・米原のGLAMP ELEMENT)や、ワイナリーのガイドツアーまで含む宿(静岡・中伊豆のEAST WINDS VILLAGE)もあります。予約前に「何が含まれるか」を必ず確認してください。
オールインクルーシブの宿はどこに多いですか?
滋賀県に集中しています。24軒のうち6軒が滋賀で、うち5軒は琵琶湖畔です。関西の都市から近い湖畔という立地に、食事も飲み物も込みで過ごすスタイルが根づいたようです。

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